1ヶ月ほど何も書いてなかったブログですが,久々に書こうと思います.
というのも,文化祭の準備があったりと何かと忙しい時期です.

最近は,よく研究室にいることが多いです.
今,probability with martingalesという本を研究室内で輪読しているんですが,測度の知識も中途半端な自分ですが,何とか測度論的確率にくらいついていこうと奮闘中でございます.

そこで,測度論では 可測 (measurable) という概念が出るのですが,これについて直感的な理解をしてみましょう.

事象

まず,標本空間 (sample space) Ω を考えます.標本空間とはなんらかの実験(試行)を行なった際の,結果の集合です.
たとえば,R(赤),G(緑),B(青)の玉が1つずつ入っている袋から,玉を一つだけ取り出すという試行を考えると,

という標本空間を考えることができます.予め,あらゆる結果を集めた集合を考えておくということですね.

次に 事象 (event) を考えます.事象とは,Ωから要素をいくつか組み合わせたもので,例えば,”赤か緑を取り出す” = {R,G} といったように考えます.Ωから一つだけ要素を取り出した場合や,要素を全く取り出さない場合も含めます.Ωの事象を全て列挙すると,

となります.

次に,この事象リストの中からいくつか選んで新たなリストをつくってみます.例えば,

このようにとってみます.実はこのリストは,どの事象を選んでも,その余事象もこのリストに含まれます.
例えば,{R}の余事象は,{G,B}であり,確かにリストに含まれることがわかります.

さらに,どの二つの事象を選んだとしても,その和事象もリストに含まれます.
例えば,{R}∪{G,B}={R,G,B}は,このリストに含まれます.

さらに,どの二つの事象を選んだとしても,その積事象もリストに含まれます.
例えば,{R}∩{G,B}=φは,このリストに含まれます.

このように,リスト内で補事象,和事象,積事象を考えてもそのリストに含まれる場合,
そのリストは σ-algebra と言います.(正確には可算無限個の和事象,積事象)

測度論では,σ-algebraを用いて,可測 (measurable) という概念を考えます.可測とは,「区別できる」といった意味合いで,σ-algebraは,「区別できるリスト」と考えることができます.この「区別できるリスト」に入っている事象は「可測である」(=「区別できる」)と言います.次にこれらを説明しましょう.

可測

あなたは今,事象{R}を区別できる(可測)とします.つまり,玉を一つだけ取り出した時に,それが「赤である」ということがわかるということです.これを用いることで,「赤ではない」ということも区別できるので,「緑か青である」({G,B})ということも区別できます.さらに,何も玉は取り出されなかった(φ),何か玉は取り出された({R,G,B})という事象は常に区別できると考えます.

これをまとめると,事象{R}を区別できることから出発して,

が,区別できる事象リストになります.この場合は,上の例と同じでσ-algebraとなっています.
これをσ({R})と書き,{R}から生成されるσ-algebraと言います.

一方,σ({R})には{G}は含まれません.これは,「赤である」ということが区別できたとしても,「緑である」ということは区別できないという意味になります.(もちろん青の可能性もあるから)

同じように,事象{R}, {G}を区別できるとします.常にφ,{R,G,B}は区別できるとすると,

が区別できるリストになります.「赤である」ということと「緑である」ということを区別できれば,「赤か緑である」という事象を区別できるので,区別できるリストは,

と増えます.次に,「赤か緑でない」,つまり,「青である」という事象も区別できるので,

と増えます.同様にすると,

ここまで増やすことができます.すなわち,

ということがわかります.

確率変数

次は,赤玉と白玉がたくさん入っている袋から,2回だけ順番に玉を取り出す試行を考えてみましょう.この場合の標本空間を書き下してみましょう.標本空間とは,起こり得るすべての結果を集めれば良いので,

となります.

次に,Ωの各要素に対して,数を割り当てる関数を考えます.この関数のことを 確率変数 (random variable) と言います.
例えば,「赤玉が取り出された回数」という確率変数Xを考えてみましょう.この場合は,

となります.

あなたはXにとても「詳しい」とします.なので,「Xの結果を用いる」すなわち赤玉が取り出された回数を見ることで,いくつかの事象を区別できます.

例えば, X=1 となる事象 {RW, WR} は区別できます.同様に他にも考えて見ると,

これらがXを用いることで区別できる事象リストとなります.これを確率変数Xが生成するσ-algebraと言い,σ(X)と書きます.

逆に,σ(X)に含まれない事象は区別できない事象となります.例えば,1回目に赤玉を取り出す事象{RR,RW}は,σ(X)に含まれません.つまり,「赤玉が取り出された回数」がわかったとしても,1回目に赤玉を取り出したかはわからないということを意味します.

σ(X)はXが持つ情報を表していると考えることができます.

まとめ

事象が可測=事象を区別できる という意味
σ-algebra とは,区別できる事象リストである.
σ({R}) とは,事象{R}を用いて区別できる事象リストである.
σ(X)とは,確率変数Xを用いて区別できる事象リストである.