突然の大学の思い出話。私にとって思い出深い講義は、大学2年生の夏に受けた数理科学Ⅲという授業で、それはベクトル解析の内容の講義でした。その中で特に思い出深いのは、ポアンカレの補題


適当な空間における、\(n\)次微分形式\(\omega\)に対して、

\[\mathrm{d}\omega = 0\]

の時、ある\(n-1\)次微分形式\(\mu\)が存在して、

\[\mathrm{d}\mu = \omega\]

この定理自体は抽象的なものですが、具体的な例を挙げると、電磁気学のベクトルポテンシャルの存在があります。


Maxwell方程式により、 磁場\(B\)に対し、\(\mathrm{div}B = 0\).
(ポアンカレの補題により)あるベクトル場\(A\)が存在して、\(\mathrm{rot}A=B\).
この\(A\)をベクトルポテンシャルと呼ぶ。


当時の私はまだ大学2年生で、微積と線形の講義を履修したばかりで、まだ高校数学の延長線上の知識でした。しかし、この授業を受けた時、突如として抽象的な話が始まったのです。
divやrotは外微分 \(\mathrm{d}\) という演算に一般化されます。外微分を定義するには、余接空間という概念を導入する必要がありますが、ここで双対ベクトルという概念が登場します。

双対ベクトルは、ベクトルから実数へ移す線形写像と定義されますが、正直初見だと抽象的すぎてよくわかりません。
当時の私にとっては双対ベクトルとは初めて聞く概念でした。
ただ、その時の同級生(彼は数学科に行きました。)が教えてくれたイメージを今でも覚えています。

縦ベクトルを元のベクトルとしたら、横ベクトルが双対ベクトルだよ。だって行列の掛け算すると実数になるでしょ。

なるほど確かに縦と横だと双対のイメージが湧きます。

追いつくのが大変な授業でしたがなんとか友人に助けてもらったりしつつ、この授業は思い出深いです。その授業の中でも一番美しさを感じたのは冒頭のポアンカレの補題です。ちなみに次点はストークスの定理です。

参考

http://peng225.hatenablog.com/entry/2016/12/24/135725
微分形式の定義をきちんと書いてあって、復習するにはちょうど良いです。このブログを読みながら本稿を書きました。